WHITE

でつ

ホワイトデー

“プレゼント”という形で買ったもので、もう手に取れなくなってしまったチョコレートがある。その時どうして買ったのか、どんな気持ちで渡したのかが鮮明に思い出されて目を背けてしまう。形にも記憶にも残らないものがいいと思い選んだはずが、わたしにだけ形にも記憶にも残ってしまう結末だった。その時はいっぱいいっぱいで、自分がチョコレート好きだということを忘れていた。チョコレートは選ぶべきじゃなかったなと反省している。

今日はお休みだ。朝は二度寝してゆっくり起きた。インターホンが鳴って起きる。そうだ今日は荷物が届く日だった。髪の毛だけ適当にとかして部屋着のまま玄関を開けた。わたしの地域を回るヤマトのおじさんは愛想も態度もとっても悪くて毎度毎度嫌な思いをしながら受け取っていたのだけれど、年明けくらいからそのおじさんが来なくなった。クレームでも入って飛ばされたのだろうか。ぐっぱいヤマトのおじさん。その代わりにとっても優しい丁寧なおじさんが来るようになった。お母さんが送って来る荷物は、冷凍とか野菜とか重たい類のものなのだけれど「今回の荷物は冷凍です。重いですよ、しっかり持ってね、はい手を離すよ、離しました!」てな感じでとても優しい。はろーヤマトのおじさん。

わたしの最寄駅は各駅停車しか停まらないからのんびりと乗っていられる。東京は本当に知らない街に今日行けるすごいところなのだなと、駅名の看板を見るたびに思う。

お昼ご飯は美味しい親子丼のお店に入った。いかにもベテランという風貌のおじいさんが厨房に立っていて、十人に一人くらいには「いらっしゃいませ」と声を出す。親子丼専用のフライパンで、一気に四品ずつ作っていく。カウンターだと、作り始めから終わりまで全て見ることが出来るのだけど、わたしみたいにじーっと見ているお客さんがいると作りにくいだろうな、とか思いながらじーっと見ていた。店内のBGMは有線を適当に引いたような音楽しか流れない。SEKAI NO OWARIRPGとか、西野カナのBelieveとかミスマッチ感に毎度笑ってしまう。“I believe いつかアイツが 後悔するほど キレイになって 見返せる時がくるから〜…♪”なんて流れているなか、しかめっ面のおじいさんが親子丼を作っているのだ。そりゃリピートしたくなるお店だよな、と思う。

帰りも各駅停車でのんびり帰ってきた。途中少し早く着ける電車に乗り換えることもできたがやめた。まだ読み終わってない本を読んでいたいなと思った。

まだあと少しあるけど、ぐんない水曜日。