WHITE

でつ

会いたい人

「声を聞きたいから」

という理由で安易に電話をかけてもいいと思っている。特に話したい内容はないのに、急に声を聞きたくなる。しっかりと相手の表情を想像できるところとか、言葉の語尾、ニュアンスがその人独特のものとか、少しの間が想像させるところとか、電話は結構好き。

わたしの友達は感受性が豊かな人が多い。よく泣いたり、笑ったり、怒ったり、落ち込んだり、照れたり、恥ずかしがったり、悔しがったり、人間的魅力がたくさん詰まっている。チロルチョコの箱詰めに似ている。あれ、チロルチョコにしては高いのにどうしても欲しくなる。買ったことないけど。欲しい欲しいと駄々をこねれば買ってくれるだろうか。自分で買えよって話だけれど。

“まぬけ”なことってあると思うのだけれど、ニュアンスが可愛い。あと、おっちょこちょいとか。「まぬけだなあ…」と言われると「えへへへへ」となる。けなされているはずなのに、褒められた時くらい照れる。なんだか肯定的なことを否定的に肯定しているような。だから、わたしが何かヘマした時には「まぬけだなあ…」と頭を撫でて欲しい。そんな甘い世界じゃないのはもう十分知っているから、知っているから、ね。

頼りなくても、ホラー映画が見れなくても、夜一人でトイレに行けなくてもいいよ。笑うタイミングが違くても、2人の時間に本を読んでも、眠ってもいいよ。泣きたくなったら連絡してきてね。楽しくなかったらもっと楽しいことを考えればいいし、死にたくなったら温泉に行こう。次はどこに旅に出ようか。上司に白い目で見られてもしっかり休みは取るんだよ。仕事は生活じゃないし、強制じゃないし、それしかないなんてことないよ。フリーターになってもいいし、地元に戻って甘えてもいい。でも、少なくとも自分の足で立つんだよ。洗濯した綺麗な服と、磨いた靴と、整った髪で。化粧は薄くてもして、爪はしっかり切る。香水は気分によって変えてね。つけない日は大切な人に会う日。「柔軟剤とシャンプーの匂いだよ」なんてあざといことを言いたいんだよ。黒い髪は美しい。綺麗で柔らかい髪だね、と言われたい。綺麗な肌にはちゃんとした化粧水を。冬は乾燥するよね。ああもう直ぐ3月か。冬服がどんどん要らなくなるね。

友達がぼろぼろになって働いているのを見て、もう辞めなよと言った。その子の誕生日には「最低で最高な大人でいてね」と送ったが、気持ちは届いただろうか。少しは笑ってくれただろうか。

その子の口癖は「わたしたちは幸せにしか向かってないよ、ね」だった。

全力で幸せに向かって行けたらいいな。背筋は伸ばしてね。