WHITE

でつ

春先

嘘ばっかり。

適当に辻褄合わせた話を適当に聞いたくらいで、知った気になって知ったかぶりして。みんな頭沸いてんのか。物静かな人、チャラい人、面白い人、固い人。なんていう“こんな人”とイメージを勝手につけ、そのイメージを一切崩さず向かってくる。「こういう人だからこんな感じでいいでしょう」てな感じで。ふざけるのもいい加減にしろ。いつまでもそうやって固い頭で考えて生きていけばいい。苦労しろ。

ここまでなら言える、というボーダーラインが歳を重ねるごとにどんどん狭くなっていく。言葉を変えると、秘密が増えて行く。「引かれるかな」「嫌われるかな」「変に思われるな」とかいうマイナスなイメージが先行しているのかもしれない。でも逆にほとんど全て言ってしまう時もある。もういいやと投げやりになって。わたしが持っている重荷全てを下ろして強引に相手にも持ってもらおうという甘い考えで接している時もある。

にこにこして、いいよいいよ大丈夫よくやったね。と言ってくれたらきっと後者が強く出てしまう。相手にも迷惑だし、あとあと考えると後悔もする。あん時あそこまで言わなきゃよかったなあと。まだわたしは20歳で、世の中には一人で生きていく経験をしたことがない人もいる歳で、一人暮らし3年目の社会人1年目。ただ職場に休まず行くだけでも褒められたりする。1年辞めなかっただけで、よく頑張ったねとご飯を奢ってもらったりした。甘い世界の20歳だった。挑戦すること、新しいことを始めること、始め続けることがどれだけ怖いことか知っている。だからわたしはもう一年ここにいることを選んだ。わたしの友達には別の道を歩き出している子もいる。きっと置いていかれる感覚をまた味合わなければならなくなるのだな、と。

今日は疲労困憊だ。リードを間違った。反省の色の一日だ。20:30に園を出たら外に春の匂いが充満していた。どこかで嗅いだことがあるような匂い。地元でも、学生時代過ごした街でも、春先は同じ匂いがするんだな。先輩が「切なあて、切なあて、しゃーないわ…」と大きく深呼吸していた。どうしてもこの匂いには別れ的な感情も一緒に湧き上がってくるものね。そろそろ別れの季節が来るね。

女の子が絵本を膝に乗せて読みながら「寂しいなあ」と呟いた。きっと子どもたちの方が敏感で別れを素直に悲しんでいるようだ。

大人になるのはなんて切ないことなのだろう。こんな季節を20回も体験すると、切ないのが当たり前になってきていたんだな。

毎年の別れは毎年違うのにね。